食肉の栄養 ビタミン 意外と知らないビタミンの役割
九州食肉学問所 学長

九州食肉学問所 学長です。これまで、たんぱく質、脂質、糖質、そして栄養学と糖質制限と学んできました。今回は、意外と知らない「ビタミン」の役割です。

2026年の訂正について

この記事は2015年当時の文章をなるべく残し、2026年時点の知見と合わない部分を訂正しています。取り消し線が当時の記述、色のついた部分と「2026年の訂正」の枠が訂正した内容です。1日の目安量は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の30~49歳の値に改めました。

ビタミンってなんだろう

私たちはよく「風邪をひいたらビタミンCをとろう」とか、漠然と「ビタミン不足だ」とか、日常的にビタミンという言葉を使います。ビタミンC入りをうたったドリンクもたくさん出ています。ビタミンのサプリもいろいろな種類が販売されており、売れ行きも好調なようです。

でも、ビタミンって何なのでしょう。本当に必要なものなのでしょうか。サプリで補わないと足りないものなのでしょうか。ビタミンは体の中でどう活用されているのでしょう。今回の学問所通信では、これらの疑問を探っていきます。

まずはおさらい+アルファ

体を作ったり、エネルギーを代謝したりする材料となる主なものは、三大栄養素と呼ばれる糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質です。これらは消化・吸収され、エネルギーとして代謝されます。

エネルギーのもとになるのが、ATPと呼ばれるものです。ATPは「アデノシン三リン酸」、英語では「adenoosine triphosphate」→ 「adenosine triphosphate」(つづりを訂正)、略してATPです。

図:ATPの化学構造式

左側に、酸素に囲まれたリン酸(P)が3つ連なっていることがわかります。ATPの一番端のリン酸が切り離されることで、エネルギーになります。不思議な感じですね。

では、このATPはどうやって作られるのでしょう。

前回の「栄養学と糖質制限」で見たように、細胞の中の「解糖系」で、グルコース(ぶどう糖)からATPが作られます。解糖系は酸素を必要としないので「嫌気性代謝」とも呼ばれます。全力ダッシュなどの無酸素運動のときにエネルギーとなるイメージですね。解糖系では「コエンザイム」(聞いたことありますよね)という酵素→ NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という「補酵素」。補酵素は英語で「コエンザイム」といい、酵素そのものではなく、酵素の働きを助ける物質ですが必要になります。

もうひとつは、細胞のミトコンドリアの中にあるTCA回路(クエン酸回路)を通る経路です。こちらは酸素を必要とするので「好気性代謝」とも呼ばれます。

図:脂質・たんぱく質・糖質のエネルギーの産生経路

解糖系では、1つのグルコースから2つのATPしか作られません。TCA回路では1つのグルコースから36個ものATPが作られます。→ 解糖系・TCA回路・電子伝達系を合わせると、1つのグルコースからおよそ30~32個のATPが作られます(かつては36~38個とされていました)。その大部分は、TCA回路の後に続く電子伝達系で作られます。非常に効率のよいエネルギー生産です。

TCA回路のあるミトコンドリアは、ひとつの細胞の中におよそ100個から3000個入っているといわれています。細胞の中のミトコンドリアの数は、臓器によっても変わります。筋肉でも、白筋(速筋)と赤筋(遅筋)で違ってきます。

白筋は急激な運動で使われる筋肉で、ミトコンドリアはほとんど存在しません→ 赤筋に比べて少なめです。そのため、主に解糖系のエネルギー代謝となります。でもエネルギーの生産量が少ないので、すぐ疲れてしまいますよね。瞬発力はあるけれども、持続力のないエネルギー代謝といえます。

全力ダッシュをするとすぐにパワーがなくなるのはこのためです。そして「ぜいぜい」と呼吸が荒くなるのは、解糖系では間に合わなくなったエネルギーをTCA回路で作ろうとして、酸素を取り込もうとするためです。

赤筋の細胞はミトコンドリアをたくさん持っていて、TCA回路がじっくり大量のエネルギーを生み出します。酸素を取り入れながら働くので、持久力の必要な運動にはもってこいのエネルギー代謝です。白筋は短距離ランナーに多く、赤筋は長距離ランナーに多いので、イメージしやすいと思います。

そして、いわゆる「基礎代謝が高い」ひとのミトコンドリアは「低いひと」よりも多くなります。実はこの「ミトコンドリアを増やす」ことが代謝を良くし、健康になる秘訣です。

ミトコンドリアの数と基礎代謝の関係を単純に言い切ることはできません。わかっているのは、ウォーキングやジョギングなどの持久的な運動を続けると、筋肉のミトコンドリアが増えることです。「ミトコンドリアを増やせば健康になる」という表現は言い過ぎでした。

さて、話を戻します。ミトコンドリアの中のTCA回路でエネルギーを作るためには「補酵素」というものが必要です。この補酵素が、ビタミン(とくに水溶性ビタミン)と密接に関係しています。上の図のTCA回路だけを詳しく書くと、次のようになります。

図:TCA回路

アミノ酸やグルコースから作られたピルビン酸や、脂肪酸がβ酸化されたものは、ミトコンドリアの中でアセチルCoA(コー)になります。これがクエン酸からさまざまな中間物に変わり、オキサロ酢酸になって、またクエン酸にもどる。この過程でエネルギーが作られるのが、TCAサイクル(クエン酸回路)と呼ばれるものです。

上の図に登場するCoAやNAD⁺、FADが補酵素です。補酵素は、アセチルCoAが中間物に変化していく過程で水素を抜き取ります。そして二酸化炭素が放出されます。

そして、電子伝達系と酸化的リン酸化で、酸素を利用しながらエネルギーを作っていきます(TCA回路でできたNADHやFADH、GTP→ NADHやFADH₂。GTPはTCA回路の中で直接作られるエネルギー物質で、電子伝達系では使いませんを利用)。その際に水が作られます。

※コエンザイムQ10とシトクロムcという酵素→ コエンザイムQ10とシトクロムcという、電子を受け渡す運び役(酵素ではありません)も重要な役割をします。

吐く息に二酸化炭素が含まれるのはこのためですね。呼吸に二酸化炭素と水が含まれるのはこのためですね。→ このとき作られる水は体の水分になります。吐く息が湿っているのは、主に気道の水分によるものです

エネルギーの合成に必要な補酵素はビタミン(水溶性ビタミン)から作られるため、ビタミンが不足するとエネルギーの代謝がうまくいかなくなるのです。疲れると「ビタミン不足だ!」と言ってしまうのは、あながち間違いではないようですね。

ビタミン

ビタミンとひとことに言っても、いろいろな種類があります。また、当初はビタミンと思われていたものが、のちの研究で脂肪酸などだったとわかったものもあります。大きく分けると、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と、脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」があります。

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンには、ビタミンB群やビタミンCがあります。聞いたことはあるけれど、具体的にどんな機能があるのかは、あまり知らないのではないでしょうか。

水溶性とは、水に溶けるということです。そのため、ビタミンCやビタミンB群はある程度とり過ぎても尿として排出されるため、問題ないとされているようです。→ 食事からとる分には問題になりにくいとされています。ただし、ビタミンB6やナイアシンには「耐容上限量」が決められていて、サプリなどで大量にとり続けると、神経障害や肝臓の障害などを起こすことがあります。不足すると、さまざまな問題が出ます。

そして、水溶性ビタミンは、上で説明したTCA回路で必要な補酵素の材料となるものです。

※1日の目安は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の30~49歳の値です。推奨量または目安量で、男女で違うものは「男性/女性」の順に示しています。

ビタミンB1(チアミン)

  • 働き:チアミンピロリン酸(TTP)→ チアミンピロリン酸(TPP)という補酵素になり、ミトコンドリアの中でピルビン酸をアセチルCoAに変えるのを助けます。TCA回路がうまく回るように働きます。
  • 不足すると:脚気になります。筋肉痛や肩こり、目の疲れの原因にもなります。エネルギー不足となり、心臓などの臓器に影響します。神経細胞の壊死によって神経障害を引き起こします。
  • 補足:ほとんどの食品に含まれるので不足することはない。→ いろいろな食品に含まれますが、糖質の多い食事や大量の飲酒が続くと不足することがあります。
  • 多く含む食べ物:肉類(とくに豚肉)、豆類、牛乳、緑黄色野菜、米ぬか
  • 1日の目安:1.1mg→ 1.2mg/0.9mg

ビタミンB2(リボフラビン)

  • 働き:「ビタミン=黄色」のイメージは、このビタミンB2です。フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の材料となり、酵素反応によってFADH₂になって、TCA回路がうまく回るように働きます。電子伝達系で活躍するフラビンモノヌクレオチド(FMN)の材料にもなる、大切なビタミンです。
  • 不足すると:子どもの成長障害、口内炎や皮膚炎。エネルギー不足になります。
  • 補足:体内で合成されないので、食事からきちんととります。とり過ぎた分は尿に出るため、尿が黄色くなり、ビタミン臭がします。
  • 多く含む食べ物:卵や肉類(とくにレバー)、ドジョウ、緑黄色野菜
  • 1日の目安:1.5mg→ 1.7mg/1.2mg

ビタミンB6

  • 働き:ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンのことです。体内でピリドキサールリン酸(PLP)になります。アミノ酸から神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)を作るときに材料として利用される→ 補酵素として働きます。アミノ酸から「糖新生」の原料となるピルビン酸やオキサロ酢酸を作るときにも使われます。
  • 不足すると:神経障害、けいれん、脂漏性皮膚炎
  • 補足:腸内細菌が常に供給するので通常欠乏症になることはない。→ いろいろな食品に含まれるため、ふつうの食事で欠乏症になることはまれです。腸内細菌も作りますが、それだけに頼れるわけではありません。
  • とり過ぎると:抹消感覚神経障害→ 末梢感覚神経障害(サプリなどで大量にとり続けた場合)
  • 多く含む食べ物:バナナ、鮭、肉類、レバー
  • 1日の目安:1.2mg→ 1.5mg/1.2mg

ビタミンB12(コバラミン)

  • 働き:コバルト(Co)を含み、赤い色をしています。体内でアデノシルコバラミンなどになり、補酵素として働きます。
  • 不足すると:悪性貧血の原因になります。脊髄神経へも影響し、位置感覚や触覚が悪くなったり、歩行が困難になったりします。
  • 補足:必要な量はごくわずかで、通常不足することはありません。肝臓に蓄えることもできます。ただし、胃を切除したひとや、胃から出る糖たんぱく(内因子)の分泌が不十分なひとは、吸収できず不足することがあります。
  • 多く含む食べ物:レバー、牡蠣。野菜や果物にはほとんど含まれません。
  • 1日の目安:24μg→ 4.0μg(当時の「24μg」は2.4μgの誤りでした)

ナイアシン(旧名:ビタミンB3)

  • 働き:ニコチンアミドとニコチン酸のことです。※本来は核酸に分類される→ (「核酸に分類される」は誤りでした)体内でNADやNADPになって補酵素として働きます。エネルギーを作るうえで、もっとも重要な物質のひとつです。
  • 不足すると:胃腸炎や皮膚炎などの軽い症状が主です。重い場合は、幻覚や記憶障害などが起こります(トウモロコシなどばかりを食べる生活が続いた場合のペラグラ)。
  • 補足:体内でアミノ酸のトリプトファンからも作られますが、足りないので外部から摂取する必要がある。→ それだけでは足りないこともあるので、食事からもとる必要があります(目安量の単位「mgNE」は、トリプトファンから作られる分も含めた値です)。食品のほとんどに含まれているので、ふつうは不足しません。
  • 多く含む食べ物:サバ、カツオ、イワシなどの魚類、肉類、レバー、豆類
  • 1日の目安:15mgNE→ 16mgNE/12mgNE

パントテン酸(旧名:ビタミンB5)

  • 働き:アセチルCoAなどのCoAの材料となります。CoAは補酵素として、エネルギーの合成に重要な役割を持ちます。脂質の分解や再合成などもコントロールします。
  • 不足すると:成長の抑制、体重減少、突然死→ 手足のしびれや疲労感など(ヒトでの欠乏症はまれです)
  • 補足:ほとんどの食品に含まれるので、不足することはまずありません。欠乏するとどうなるかは、あまりはっきりわかっていません。
  • 多く含む食べ物:卵、レバー、牛乳、納豆、ピーナッツ
  • 1日の目安:6mg→ 6mg/5mg

ビオチン(旧名:ビタミンB7)

  • 働き:補酵素として、糖新生で重要な役割を果たします。ピルビン酸をオキサロ酢酸に変える、糖新生の最初の反応で働きます。
  • 不足すると:妊婦がビオチン欠乏症になると奇形児が生まれることがある。→ 動物実験では、妊娠中の欠乏で先天異常が起こることが報告されています。皮膚炎、脱毛、神経障害
  • 補足:腸内細菌が常に供給するので通常欠乏症になることはない。→ ふつうの食事で欠乏症になることはまれです。生卵の白身を大量に食べ続けると、欠乏症になることがあります。風邪時に抗生物質をたくさんとると欠乏症になることがある。→ 抗菌薬(抗生物質)を長く使うと、腸内細菌の変化で不足することがあります。なお、抗菌薬は風邪のウイルスには効きません。
  • 多く含む食べ物:酵母、レバー、豆類、卵の黄身
  • 1日の目安:45μg→ 50μg

葉酸(旧名:ビタミンB9)

  • 働き:体内でテトラヒドロ葉酸(THF)になって、核酸の合成で活躍します。アミノ酸の代謝でも利用されます。
  • 不足すると:悪性貧血→ 巨赤芽球性貧血(悪性貧血はビタミンB12不足で起こるものです)。胎児の神経管の発育不全。
  • 補足:ほとんどの食品に含まれるので不足することはない。→ 野菜をあまり食べない食生活では不足しがちです。妊娠を考えている女性は、とくに意識してとるよう勧められています。体内に蓄えることもできます。抗がん剤などの薬を使っているときや、小腸の病気でうまく吸収できないときがあります。
  • 多く含む食べ物:酵母、レバー、豆類、卵の黄身→ 緑の葉物野菜、レバー、豆類
  • 1日の目安:45μg→ 240μg

ビタミンC

  • 働き:活性酸素を無毒化します。皮膚のコラーゲンを正常に保ちます。脂肪酸をミトコンドリアの中に運ぶときに必要なカルニチンも、ビタミンCの働きで作られます。コレステロールを排出する胆汁酸を作るのにも必要です。
  • 不足すると:壊血病、皮下出血
  • 補足:体内に多数存在し、通常不足することはない。→ ヒトはビタミンCを体内で作れないので、食事からとる必要があります。果物や野菜を食べていれば、ふつうは不足しません。
  • 多く含む食べ物:果物、野菜、刺し身
  • 1日の目安:100mg

※表の作成にあたっては『図解 トコトンわかる基礎生化学』(池田和正著、オーム社)を参考にしました。

水溶性ビタミンは、エネルギーの代謝と密接に関わっていることがわかります(下の図を参照)。

図:エネルギーの産生経路と水溶性ビタミンの関わり

食べた栄養素が分解されたり、エネルギーになったりするために、さまざまな水溶性ビタミンが活躍しているのがわかりますね。

これらのビタミンはほとんどの食品に多く含まれ、通常であれば不足することはありません。→ ただし、偏った食事や大量の飲酒が続くと、ビタミンB1などが不足することがあります。そのため、不足するとどうなるかがはっきりわかっていない場合も多いのです。

過剰に摂取しても尿として排出されるだけです。→ 食事からとる分には、とり過ぎた分は尿として排出されます。ただし、サプリでの大量摂取には注意が必要です(ビタミンB6、ナイアシンなど)。

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンの特徴は、水に溶けず、脂に溶けるということです。そのため、とり過ぎると体内に蓄えられ、悪さをすることがあります。また、水溶性ビタミンと違って、エネルギーの代謝に関わるのではなく、体のいろいろなところで働いて、健康に生きていくために必要とされています。

脂溶性ビタミンが吸収されるときには、脂肪が必要になります。食事中の脂肪が少ないと、うまく吸収されません。

ビタミンA(レチノール)

  • 働き:ニンジンに含まれるβカロテン(プロビタミンA)は、酵素によって切断されて2個のビタミンAになります。動物性食品には、ビタミンAがそのままの形で豊富に含まれています。
  • 不足すると:夜盲症(とり目)、乾燥眼炎、皮膚や粘膜の角質化、皮膚の異常乾燥、胎児の異常
  • とり過ぎると:頭痛、嘔吐・衰弱、皮膚炎、皮膚の荒れやかゆみ、奇形児出産の危険性→ 妊娠中のとり過ぎによる胎児の先天異常のリスク
  • 多く含む食べ物:バター、ウナギ、レバーなどの内臓、ニンジンやかぼちゃなどの緑黄色野菜
  • 1日の目安:→ 900μgRAE/700μgRAE(当時は記載なし)

ビタミンD

  • 働き:ビタミンD2、D3に分離される→ 分類されます。カルシウムの吸収や再吸収を促し、骨の代謝に大きな役割を果たします。ビタミンDは血液を通して腎臓や小腸、骨などに信号を送る、ホルモンのような働きをします。
  • 補足:太陽の紫外線を浴びると、コレステロールの一つ手前の物質から、ヒトの皮膚で合成されます。食事からD2をきとんと取れば基本的に不足することはない。→ 魚に多いのはD3、きのこ類に含まれるのはD2です。日光に当たる時間が短い人は、食事からも意識してとることが勧められています。
  • 不足すると:骨に異常が起こります。乳児のビタミンD。不足は骨の変形をもたらす。→ 乳幼児では、不足すると骨が変形します。くる病、骨軟化症、骨粗しょう症
  • とり過ぎると:ビタミンD中毒。腎臓にカルシウムがたまり過ぎて結石ができ、腎不全を引き起こすことがあります。
  • 多く含む食べ物:いわし、鮭などの魚、→ きのこ類
  • 1日の目安:5μg→ 9.0μg

ビタミンE(α-トコフェロール)

  • 働き:動物の繁殖に必要なビタミンとして発見されました。人間の妊娠には必ずしも必要でない。悪玉といわれる活性酸素を消去する抗酸化作用があり、細胞膜が壊されないように守ります。それにより心筋梗塞や脳梗塞を防ぐので「老化防止」のビタミンともいわれる。→ 「老化防止のビタミン」とも呼ばれますが、大規模な研究では、サプリで心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ効果は確認されていません。
  • 不足すると:血管が壊れやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞など様々な問題を引き起こす。→ ふつうの食事で不足することはまれです。脂肪の吸収障害などで不足すると、神経や筋肉の障害が起こります。
  • とり過ぎると:食事からとる分には問題ないとされていますが、サプリなどには1日の上限量があります。大量にとると、血が固まりにくくなります。
  • 多く含む食べ物:植物油、種実類、魚卵など
  • 1日の目安:8mg→ 6.5mg/6.0mg

ビタミンK

  • 働き:血液が固まるときに必要なビタミンです。ビタミンK1とビタミンK2という形で体内に取り込まれます。ビタミンK1は緑黄色野菜に多く含まれ、ビタミンK2は腸内細菌が作ります(納豆にも豊富です)。
  • 不足すると:食事を制限しているときに脂肪をきちんととらないと、ビタミンK欠乏症になります。出血しやすくなったり、血が固まるのが遅くなったりします。
  • とり過ぎると:溶血性貧血、肝機能障害→ (合成のビタミンK3で報告されたもので、食事からのK1・K2では問題になりにくいとされています)
  • 多く含む食べ物:納豆、青菜
  • 1日の目安:75μg→ 150μg

※表の作成にあたっては『図解 トコトンわかる基礎生化学』(池田和正著、オーム社)を参考にしました。

まとめ

ビタミンは三大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)と違い、必要な量はごくわずかです。肉・たまご・チーズなどの食事をきちんととっていれば基本的に不足することはありません。→ お肉や卵、チーズは、ビタミンB群やビタミンAのよい供給源です。一方で、ビタミンCや葉酸、ビタミンKは主に野菜や果物からとるものなので、お肉とあわせて野菜もしっかり食べるのがおすすめです。減量だからといって低脂肪の食事を続けていると、逆に脂溶性ビタミンが吸収されにくくなってしまいますね。

それにしても、ビタミンのサプリがこれほど流通しているのは、現代人が偏った食生活を送っている証拠なのでしょうか。

ちなみに最新の研究ではビタミンAの不足が膵臓のβ細胞を破壊し、糖尿病をまねく可能性も指摘されています。さらなる研究が待たれるところです。「ビタミンA不足で糖尿病に、血糖を下げる「ベータ細胞」が消滅の恐れ」

当時紹介した「ビタミンA不足で膵臓のβ細胞が失われ、糖尿病につながる可能性がある」という研究は、マウスを使った研究です。ヒトで同じことが起こるかは確かめられていません。また、紹介していたニュース記事(mededge.jp)は現在読めなくなっているため、リンクを外しました。

次回は最後の栄養素「ミネラル」についてです。これまで見てきた5大栄養素がお肉にどのくらい含まれているのか、そして生理活性物質やフィトケミカルについてもまとめてみたいと思います。


この記事は、九州肉屋.jpの連載「学問所通信」第14回(2015年2月)を、2026年に加筆・更新したものです。

参考:「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)/ビタミンEの働きと1日の摂取量(健康長寿ネット)/『図解 トコトンわかる基礎生化学』(池田和正著、オーム社)

お肉と栄養についての質問は、LINE公式アカウントからお気軽にどうぞ。