
九州食肉学問所 学長です。先日、当店のオリジナルブランド「学問所チキン」について、除草剤の成分であるグリホサートが残っていないかを検査しました。その結果と、結果をもとに私なりに調べたことをご報告します。
これから書くことには、私自身まだ完全には理解できていないことも含まれます。参考として読んでいただき、もっと詳しい方がいらしたら、ぜひ教えていただけるとうれしいです。
検査の結果は「0.01ppm未満」
| 検査したもの | 学問所チキン 鶏ミンチ(赤身90%) |
| 検査項目 | グリホサート |
| 検査方法 | 高速液体クロマトグラフィー法 |
| 検査機関 | 公益社団法人 大分県薬剤師会 検査センター |
| 結果 | 0.01ppm未満 |
| 日付 | 2026年9月30日 受付/10月22日 成績書発行 |
「0.01ppm未満」とは
「0.01ppm未満」は、この検査方法で測れるいちばん小さい量(定量下限)を下回った、という意味です。つまり、この検査ではグリホサートは検出されなかったということです。
検査では「まったくのゼロ」を証明することはできないため、「ゼロ」ではなく「〇〇未満」と書かれます。もしグリホサートが少しでも反応して機械が捉えていれば、具体的な数値や「検出(0.01ppm未満)」「痕跡」といった書き方になるそうです。
ちなみに、国が定める鶏の筋肉のグリホサートの残留基準値は0.05ppmです。今回の結果は、その基準値よりもさらに低い「測れる限界以下」でした。
この結果をふまえて、私なりに調べたことを書いていきます。
1. グリホサートは水に溶けやすく、脂肪にはたまりにくい
検査を依頼するときに、検査機関の方から「脂身はできるだけ混ぜないように」と言われました。グリホサートは水に溶けやすい性質で、脂肪にはたまりにくく、体に入ってもほとんどが尿などで体の外に出ていくそうです。
そこで今回は、赤身の部分を検査しやすいように、赤身をミンチにしました。それでも脂身は少し混じるため、検査の記載上は「赤身90%」としています。
2. もっと高性能な検査なら、検出されたのでは?
その可能性は捨てきれません。
以前、国会議員などの髪の毛から、ごく微量のグリホサートが検出されたことが話題になりました。そのときは海外の検査機関で、今回の「高速液体クロマトグラフィー法」よりもずっと細かい単位まで測れる方法がとられていました。
ただ、髪の毛から見つかったのは、体に入ったものがきちんと体の外に出された跡だと考えられています。なお、髪の毛の中の濃度と、食品の残留基準値は、そのまま比べることはできません。
髪の毛は、筋肉などとくらべると、「過去数か月のあいだに体から外に出された老廃物の記録」が残る場所だそうです。
3. 遺伝子組み換え飼料のこと
遺伝子組み換えの飼料の中で、多くの方が気にされるのが「トウモロコシ」です。一般的な配合飼料では、トウモロコシが5割ほどと、かなりの量を占めます。
トウモロコシは、家畜を太らせるエネルギー源として、昔から使われてきました。
そして、「遺伝子組み換えされている」ことよりも、「グリホサートという農薬が使われている」ことに拒否反応を示す方がほとんどです。
遺伝子組み換え作物を含む飼料で育てた家畜でも、グリホサートは体の外に出ていきやすいため、今回の検査では検出されませんでした。ただ、1回の検査で「完全に安全」と言い切ることはできません。たまたまだったかもしれませんし、穀物の飼料にもっと頼っている豚肉や牛肉では、結果がちがうかもしれません。費用のかかることですが、少しずつ検査を重ねていきたいと思います。
4. お客様とは「運命共同体」
今回グリホサートの検査をしたのは、「遺伝子組み換え作物」や「グリホサート」をおすすめするためではありません。ほかの農薬にしても抗生物質にしても、体の外に出ていくとはいえ、それは私たちの暮らす土壌に流れ出ているということに他なりません。環境汚染を引き起こす可能性があるかもしれません。脂に溶けやすい成長ホルモン剤の問題もあります。これは、世界全体で取り組まなければならない問題です。
私と妻、そして子どもたち3人は、当店のお客様と同じお肉を食べ続けてきました。いまのところ、健康で、トラブルもなく暮らしています。遺伝子組み換え作物を飼料のもとにした家畜のお肉でも、その作物を直接食べるよりは安全だと、私なりに安心したかったのです。
糖質制限食を続けていくには、ふつうの食事よりも多くの動物性たんぱく質が必要になります。安全性にこだわりすぎて量を確保できない、予算的に続けられない、というご相談もたくさんいただいています。
私ごときが「安全だ」と言い切ることはできません。でも、皆さんと同じ鉄板のお肉を食べている「運命共同体」だということは、心に留めていただけるとうれしいです。
最後に
私個人としては、成長を早めるためのホルモン剤や抗生物質のほうが問題だと考えています。
いろいろなお肉を食べてきましたが、私の実感では、早く大きく育てた家畜のお肉は、水っぽく、筋肉ももろい印象があります。同じ100gのお肉でも、水っぽく、筋線維がもろければ、そのぶん栄養は少なくなります。1回の食事で効率よく動物性たんぱく質をとるなら、こうしたお肉は避けたいと考えています。
当店のお肉を育ててくださっている生産者さんについては、ネットショップ九州肉屋.jpの「生産者のご紹介」でご紹介しています。
※「学問所チキン」は九州食肉学問所の登録商標です。
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