
九州食肉学問所 学長です。「A5」「A4」という言葉、よく耳にしますよね。今回は、この牛肉の格付けが何を表しているのか、どう決まるのかをご紹介します。
牛肉の値段を左右する「格付け」
前回(第6回)は、牛肉が食卓に届くまでの流れをご紹介しました。豚肉もほとんど同じ流れですが、大きくちがうのが牛肉の「格付け」です。取引される牛肉の値段は、この格付けに大きく左右されます。

取引される枝肉には、格付けを表す印が押されています。
「A5」は2つの等級の組み合わせ
「A5」の前半のアルファベットと、後半の数字は、別々の等級です。
| 歩留(ぶどまり)等級 | A・B・Cの3段階。1頭の枝肉から、お肉がどれだけとれるかの見込みです。肉屋さん向けの等級で、味とは直接関係しません。 |
| 肉質等級 | 5・4・3・2・1の5段階。霜降りの入り方や肉の色など、お肉の質の評価です。 |
組み合わせは3×5の15通りで、いちばん上がA5です。

写真は、肉質等級ごとの牛肉です。見た目ではっきりわかるのは霜降りの量で、等級が高いほど霜降りが多く、きめも細かくなります。等級が高いほど値段も高くなるので、農家さんは5等級を目指して、一生懸命に牛を育てています。
赤身の牛肉と格付け

一方で、格付けは霜降りを高く評価するしくみなので、赤身を楽しむ牛肉はどうしても低めの等級になりがちです。この記事を書いた2014年当時、当店のブランド「九州南蛮渡来牛」も赤身のおいしさが自慢の牛肉でしたが、格付けでは2等級ほどになり、生産者さんにとっても肉屋にとっても、値段をつけるのが難しい牛肉でした。
その後、赤身肉の人気は高まり、熟成させてうま味を引き出す「ドライエージングビーフ」も広く知られるようになりました。等級だけでなく、何を楽しみたいか(霜降りのとろける食感か、赤身のうま味か)でお肉を選ぶのがおすすめです。
いまの当店の牛肉(2026年現在)
当時の「九州南蛮渡来牛」は、いまは取り扱っていません。赤身の牛肉は、いまは「九州赤身牛」をお届けしています。また、2014年当時は5等級の牛肉を扱っていませんでしたが、いまは九州産黒毛和牛5等級の「学問所和牛」もお届けしています。
もっと詳しく:格付けの決まり方

格付けは、公益社団法人日本食肉格付協会が、全国共通の規格にもとづいて行っています。
歩留等級(A・B・C)
ロース芯の面積、ばらの厚さ、皮下脂肪の厚さ、枝肉の重さから「歩留基準値」を計算し、72以上がA、69以上72未満がB、69未満がCになります。余分な脂が少なく、お肉が多くとれる枝肉ほど高く評価されます。
肉質等級(5〜1)
次の4つの項目を、それぞれ5段階で評価します。
- 脂肪交雑(霜降り):B.M.S.(牛脂肪交雑基準)のNo.1〜12で判定。No.8以上が5等級です。
- 肉の色沢:B.C.S.(牛肉色基準)による肉の色と、光沢で判定。
- 肉の締まりおよびきめ
- 脂肪の色沢と質:B.F.S.(牛脂肪色基準)による脂肪の色と、光沢・質で判定。
肉質等級は、4つの項目のうちいちばん低い等級に決まります。たとえば、霜降り・肉の色・脂肪の色が5等級でも、締まりときめが4等級なら、その牛肉は4等級になります。
この記事は、九州肉屋.jpの連載「学問所通信」第7回(2014年7月)を、2026年に加筆・更新したものです。
参考:牛枝肉取引規格(日本食肉格付協会)/食肉格付とは(日本食肉格付協会)
牛肉の選び方の質問は、LINE公式アカウントからお気軽にどうぞ。



