
九州食肉学問所 学長です。せっかくのお肉も、保管と解凍のしかたひとつで味が大きく変わります。今回は、お肉のうま味を逃さない保管方法と解凍方法をご紹介します。
冷蔵品と冷凍品の使い分け

九州食肉学問所では、お肉を「冷蔵品」と「冷凍品」の2つの状態でお届けしています。
- 冷蔵品:買ってすぐに食べるためのお肉です。到着から2日以内を目安に使い切ってください。
- 冷凍品:長く保存するためのお肉です。到着から1か月以内を目安に使い切ってください。
はじめから冷凍して保存するつもりなら、ご家庭で冷蔵品を凍らせるより、最初から冷凍便でのご注文をおすすめします。理由は次のとおりです。
家庭の冷凍庫で凍らせると、うま味が逃げやすい
生のお肉は−1〜−2℃あたりで凍り始めます。そこから−5℃くらいまでの温度帯は「最大氷結晶生成帯」と呼ばれ、ここをゆっくり通過するほど、お肉の中の氷の結晶が大きく育ちます。大きな氷の結晶は筋肉の細胞を傷つけるため、解凍したときにドリップ(肉汁)が多く出て、うま味も一緒に流れ出てしまいます。
ご家庭の冷凍庫は業務用の急速冷凍機ほど冷やす力が強くないため、この温度帯を通過するのに時間がかかります。お店で急速冷凍したお肉のほうが、解凍後もおいしく食べられるのはこのためです。
おいしさを保つ冷凍保存のコツ

ご家庭で冷凍するときや、冷凍品を保管するときは、次の点に気をつけてください。
- 空気に触れさせない:ラップでぴったり包んでから冷凍保存用の袋に入れ、空気をしっかり抜きます。空気に触れると乾燥や酸化が進み、「冷凍焼け」の原因になります。
- 薄く平らにする:厚みがあると凍るまでに時間がかかります。できるだけ薄く平らにすると早く凍り、氷の結晶が小さくなります。
- 金属のトレーにのせる:アルミやステンレスのトレーにのせて冷凍すると、熱が早く奪われて早く凍ります。
- 名前と日付を書く:袋に商品名と冷凍した日(または使い切る目安の日)を書いておくと、使い忘れを防げます。
お届けした冷凍品が簡易包装のビニールに入っている場合、ビニールは冷凍庫の中で破れやすいので、冷凍保存用の袋に入れ替えると長持ちします。
解凍は「冷蔵庫でゆっくり」が基本

解凍は、時間をかけて低い温度で行うのが基本です。電子レンジで急いで解凍すると、表面だけ加熱されて色が変わったり、ドリップが多く出たりして、うま味が逃げてしまいます。
- 冷凍庫から冷蔵庫に移し、ゆっくり解凍します。薄切りなら半日、ステーキ用の厚切りやブロックなら丸1日ほどが目安です。
- 時間がないときは、袋をしっかり閉じて氷水に沈める「氷水解凍」がおすすめです。0℃前後を保ちながら、冷蔵庫より早く解凍できます。
- ステーキなど厚みのあるお肉は、焼く前に冷蔵庫から出して少し室温に置くと、中まで火が通りやすくなります。目安は30分ほどです。夏場は短めにして、出しっぱなしにしないよう気をつけてください。
一度解凍したお肉をもう一度凍らせると、味も品質も大きく落ちます。解凍したら、その日のうちに使い切ってください。
まとめ
- すぐ食べるなら冷蔵品、保存するなら最初から冷凍品を選ぶ
- 冷凍するときは、空気を抜いて薄く平らに、金属トレーで早く凍らせる
- 解凍は冷蔵庫でゆっくり。急ぐときは氷水解凍
- 解凍したお肉は再冷凍しない
冷凍と解凍に少し気をつけるだけで、お肉はずっとおいしくなります。九州食肉学問所のお肉を、ぜひおいしく召し上がってください。
この記事は、九州肉屋.jpの連載「学問所通信」第1回(2014年1月)を、2026年に加筆・更新したものです。
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