牛肉といっても、いろいろな部位に分かれます。部位によって、また切り方によって、向いている料理があります。もちろん好みもありますので、ここでは一般的なお話として読んでください。
枝肉の部位

牛は、と畜されて内臓などを取り除かれると「枝肉」になり、後ろ脚の側から吊るされます。
写真の上から、大きくモモ、ロース(サーロイン・リブロース・肩ロース)、いちばん下がウデ(肩)です。ロースと反対側(写真の左半分)はバラと呼ばれる部位です。
ロース:肩ロース・リブロース・サーロイン

ロースは大きく、肩ロース、リブロース、サーロインの3つに分かれます。
サーロイン:いちばん高価な部位
サーロインは、牛肉の中でも霜降りが入りやすく、やわらかくておいしい部位です。モモやウデよりも高い値段で取引され、その中でもサーロインは、もっとも高価な部位のひとつです。厚切りのステーキで食べたいですね。
サーロインには、あまりのおいしさに王様が「Sir(サー)」の称号を与えた、という話が有名です。ただ、本当の語源はフランス語で、「sur(上の)」と「longe(腰肉)」、つまり「腰肉の上の部分」という意味だとされています。
リブロース:やわらかさはサーロイン並み

リブロースはサーロインと同じくらいやわらかいのですが、まわりに「ロースカブリ」などがついているため、サーロインより一段安くなります。
肩ロース:味が濃く、すき焼きにぴったり

肩ロースは頭に近い側のため少し固めですが、味の濃い部位です。すき焼きなどにぴったりです。
この肩ロースには、希少部位の「ザブトン」が隠れています。写真は肩ロースを真ん中で大きく割ったもので、その部分にザブトンがついています。この部位をきちんと商品にして、残りの部位をどう売り切るかが、肉屋の腕の見せどころです。
ヒレ:5つの名前に分かれる、やわらかい部位

ヒレは、背骨をはさんでサーロインの内側についている部位です。ほとんど運動しない筋肉なので、とてもやわらかいお肉です。
ヒレは1本3〜4kgほどですが、5つの名前に分かれます。よく耳にする「シャトーブリアン」は、ヒレの中心の、いちばん肉厚でやわらかいところだけを指します。つまり、シャトーブリアンはヒレですが、ヒレがすべてシャトーブリアンというわけではありません。少し厚めのステーキがおいしいですね。
モモ:4つの部位に分かれる大きな部位
今回はウデ(肩)とバラは省いて、最後にモモをご紹介します。モモは1頭から約80〜100kgもとれる大きな部位で、大きいだけに味もさまざまです。モモは大きく、ランイチ、シンタマ(マルモモ)、ウチモモ、ソトモモの4つに分かれます。
ランイチ:ランプとイチボ

ランイチは、ランプとイチボに分かれます。ランプは、赤身でやわらかくおいしいステーキのイメージですね。対照的にイチボは霜降りがしっかり入り、ステーキ、焼肉、しゃぶしゃぶにぴったりです。
シンタマ:トモサンカクとシンシン

シンタマは、モモの中でもとても複雑な形をした部位です。よく耳にする「トモサンカク」は、このシンタマについています。モモとは思えない霜降りたっぷりの部位で、焼肉にぴったりです。シンタマからトモサンカクを分けたあとには、「シンシン」と呼ばれる、こちらも霜降りの入りやすい部位がとれます。
ウチモモとソトモモ
- ウチモモ:大きなモモ肉で、ローストビーフ用のブロックなどがきれいにとれます。
- ソトモモ:固めなので、しゃぶしゃぶ用などに薄切りにすると、とてもおいしく食べられます。
部位を知ると、お肉選びが楽しくなる
モモ肉は、まとめて切り落としや「モモ薄切り」「焼肉用」として売られることも多いのですが、実はいろいろな部位の集まりです。
でも本当は、同じモモ肉の中でも「焼肉にはここ」「しゃぶしゃぶにはここ」というおすすめがあります。それをお客さんに上手にご提案して、きれいに売り切るのが、お肉屋さんの腕の見せどころです。
この記事は、九州肉屋.jpの連載「学問所通信」第8回(2014年8月)を、2026年に加筆・更新したものです。
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